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エッセイ

これからの歯科医院環境

歯誠会 第6号(平成17年2月発行)より

 バブル崩壊・銀行の不良債権問題、行政改革と明るい見通しのない上に、アメリカのイラク問題から、世界不況の傾向が起こっています。
 4月より健康保険3割負担と医療保険制度にも全く期待の持てない時代になって来ました。
 このような環境下で医院の情報公開として、City情報に、医院広告に、インプラント・審美、審美と本来あるべき医療の姿と違う「物」としての展開がなされている様に思います。
 外から眺める国民は医療はどこも一緒、情報公開のインターネット、City情報、挙句の果てはタクシー・新聞のコマーシャルにインプラントはそんなに旨い話なのでしょうか?
 「世の中にそんな旨い話はないものだ」と認識しつつも、つい本質を見抜けず、うまく乗せられてしまいます。しかし「そんな旨い話はないのです」やはり地に足の着いた医療はそんな所にはない様に思います。質の良い医療とは何なのでしようか?

 日本の医療の間違い

 日本の健康保険制度は社会保障に対する国民の合意を体現した理念が全くないままで、行政主導型で医療費を削減する事だけを主眼に置いてきた。医療保険は多くの人に必要な普遍性の強いものを先ず対象にしており、癌治療、特殊疾患、移植治療は始めから民間保険を前提に設定されており、全ての医療を包括するには財源上は無理である。医療保険の抜本的な改革に政治家、医師、国民の視点が全く違っている。その上、政府は厚生省を通して医療費を抑えるとか上げるとか、自由にコントロールできる医療行政になっており、その意味において医療保険は国営化されており、日本は世界で最も成功した医療社会主義国家であるといえる。医療保険の変遷、改正(改悪?)には国の方針が最優先され、そこには、既得権は無視される。
 日本の医療費はOECD諸国の対GDP比で18位、一人当たりのドル換算でも5位で決して高いとはいえない。日本人口動態の変化、少子高齢化、それに伴う疾病構造の変化に保険制度は制度疲労を起こしている。
 この様な状況下で医療の質を保険制度の中で維持する事は難しい。今までと違った発想で、採るべき手段はある!
 危機は最大のチャンス!でもある。

医療保険制度の問題

 全国一律の医療技術評価であるため医師の臨床経験、技術格差は問われず、経営規模、経営予測をたてやすく考えかたによっては一面良い制度ともいえる。しかしながら医療の質の評価、新しい学問の対応に充分でないため、そして一般医療に比べ歯科医療の評価が低い為、現場歯科医師の悩みは尽きない。一方、国民にとっては、いいものは限りなく安くして置きたいし、ただほどいいのである。そこで、保険のイメージは安かろう、悪かろうの評価となる。
 経営の問題から考えると、必要経費を出来るだけ抑える事から経営規模は都会より地方へ、消耗品は通販利用で出来る限り安く、償却資産はメインテの関係から業者との関係を持つ事になる。保険制度下の消費税は患者からは徴収しない事になっている反面、経費全てに消費税がかかっているだけに実質収益は確実に低く抑えられていることを認識すべきである。

自費診療への展開

 最近、情報公開と称して診療所から社会に対しての働きかけの宣伝、広告の異常な動きがみられる。そのほとんどがインプラント、審美、ホワイトニング、矯正、ホームページと診療所が「物」を売り出す展開を始め、マーケッテングと称して如何わしい経営コンサルタントのセミナーに振り回され、手っ取り早いお金に結びつく動きをみせている事に、あの雪印乳業、三菱自動車、山一證券、西武鉄道のやり方を重ねて見てしまう。やはり、歯科医は歯科医療の本質を学んでいないように思う。つくずく足元を見ていないんだなあと思ってしまう。そして、次のようなことを思い出す。

平凡の非凡

 平凡な事を実行できる人は、実は非凡な人である。そして、私は現代ほど成功しやすい時代はないと思う。なぜなら、当たり前の事を当たり前にやらない人があまりにも多いから、当たり前の事をする人は非常に目立つ。人から認められる様になる。当たり前の事を実行出来る人間にならないといけない。少なくとも時間に限って言えば几帳面すぎるという事はないのだから、しっかり守る事。それが人から信用される第一歩である。
(江川 ひろし 話し方教室より)





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